令和2年11月14日(土)9:00~12:00 自然探勝路の自然観察会をいるま元気塾の課外授業として開催しました。コースガイドは久下 栄氏(NPO法人加治丘陵山林管理グループ)、自然観察講師は: 福地朝男氏(加治丘陵を見守る会)にお願いしました。
①農村環境改善センター玄関に集合・準備体操・裏庭の植物観察
アメリカハナミズキの説明を聞く |
9時に農村環境改善センター玄関に集合。コースガイドの久下さん、自然観察講師の福地さんを紹介した後、軽く準備体操をしてから出発。センターの裏庭から観察開始。茶の花、アメリカハナミズキなど、福地さんから説明を聞きました。日本のソメイヨシノをアメリカに送り、そのお礼に送られたのがアメリカハナミズキ。ポトマック河畔のソメイヨシノが根付くまでには色々苦労があったとのこと。
②加治丘陵の里山管理の拠点となっている小屋から南コースの
遊歩道へ
新たにできたゆるい坂道を上る |
下草刈をしているので、落葉樹主体の林内は明るく、傾斜も緩いため歩きやすい3つめのルートを登りました。最近、加治丘陵山林グループがこのあたりの神社の所有地の下草刈を頼まれ、このため、この道が使われるようになったとの話。南コースの遊歩道へ上がるルートは、これまでは農村環境改善センターの裏手から直接階段でのぼるきついルート、緩いが最後とこ ろで丸太階段となるルートの2つでした。この途中にも、ササバ草という笹そっくりの草があり、この時期に穂が出て初めて草とわかるというものを見つけました。
尾根道となっている南コースの遊歩道 |
やがて、尾根道となっている南コースの遊歩道へ。このコースの途中にスミレの貴重種(マキノスミレ)がありました。下草刈りで刈られないように、注意札と囲いがあります。
③自然探勝路の入り口から北コースの遊歩道へ
森林の成り立ちを説明する福地さん |
探勝路のメインコース入り口で小休止した後、探勝路の丸太階段を下り、かなり急な階段です。あたりは落葉樹の森林が続き、太陽の光が林内に届き、明るい林となっています。
橋の専門家OBが設計したという木の橋を渡る |
急な丸太階段を慎重に下る |
階段下には谷筋に小さな渓流があり、わずかだが水流があります。加治丘陵山林管理グループのメンバーの中に、橋の専門家OBがいて、構造計算をして木の橋を設計したそうです。ほとんど玄人に近い探勝路制作の仕事だと思います。
ここで、福地さんが加治丘陵の成り立 ちにについて説明。かつて多摩川は青梅の山々を出て直接大宮台地方面に流れていました。入間市のあたりはこの多摩川の扇状地として形成されました。この扇状地の砂利層の上に火山灰が幾重にもつもり、バームクーヘン状の土地が形成され、やがて、この土地が隆起し、多摩川は現在の流路のように東京方面に流れを変え、この土地はさらに隆起するとともに、不老川や霞川に浸食され、現在のような加治丘陵の地形が形成されました。このため、加治丘陵の地盤は砂利層と火山灰層が交互になっています。砂利はかつての多摩川が運んだものです。
探勝路最後の急な丸太階段 |
下りがあれば、上りもあります。急な丸太階段をのぼります。急な階段を登り切って、小休止。
急な丸太階段を登り切って小休止 |
阿須山の山頂に三角測量の2等水準点があります。これらの水準点は、日本の土地の形状や面積を確定する国土調査に使われます。国土調査のための測量は、建物や道路を整備する際に行われる一般測量とは違うもの。
阿須山の山頂にある測量基準点を見る |
このあたりで、加治丘陵山林グループが整備した自然探勝路は終わり、北コースの遊歩道を経て、南コースの遊歩道へ向かう横断ルートを歩きます。手入れの行き届かないスギ・ヒノキの人工林は薄暗く、林床まで光が届かないため、植物がまばら。このため土壌がむき出しになり、雨のたびに土壌が流亡して山があれます。里山は、人の手で間伐や下草刈りなど、人工林の管理が必要です。また、加治丘陵では、落葉樹林などへの植生転換も考える必要があります。
④ 山仕事の広場から桜山展望台へ
加治丘陵里山基本計画の中心的な場所に、約100haの里山自然公園(都市計画公園)が整備されており、そのコアな場所に山仕事の広場があります。当初の計画では、山仕事のための作業小屋、炭焼き小屋も計画されていましたが、まだ未整備で、ひろい芝生の広場と木製の遊具、バイオトイレが整備されています。
芝生広場は、地元の幼稚園や保育園などの子どもたちの身近な遠足の場としてよく利用されているようです。遊歩道も地元の人たちをはじめ、多くの人に散策などによく利用されています。しばらく歩くと、桜山展望台に。ここで、参加者一同の記念写真を撮りました。桜山展望台に上ると、天気が良く、周辺が一望のもとに見渡せました。富士山もくっきり見えました。新宿方向の高層ビル群やスカイツリーも。桜山展望台から農村環境改善センターへ戻り解散しました。時に12時10分。
ようやく桜山展望台に着く |
コースガイドの久下さん、自然観察講師の福地さんを囲んで記念撮影
|
今回の参加者の記念撮影の中に酸素吸入のタンクを引っ張る斎藤さんもいました。さすがに、自然探勝路のコースを歩くのは難しかったですが、農村環境改善センターの裏庭や加治丘陵里山管理の拠点小屋のあたりまでは皆さんと一緒に、久下さんや福地さんの説明に耳を傾けました。まちサポスタッフの川名さん、小野寺さんの手を借りて桜山展望台付近まで移動し、記念撮影に収まりました。